デジタルトランスフォーメーションの対応にアジャイル開発手法を活かすには
デジタルトランスフォーメーションにおいて、アジャイル開発が日本で浸透しない理由
デジタルトランスフォーメーション(DX)の対応には、アジャイル開発手法を適用するのが世界の常識になっているが、日本ではDXに比較してアジャイルが聞かれない。
理由は定かではないが、アジャイルは
- インクリメントに開発することにより途中の多様性や変化を許容
- ドキュメントより動くものを開発
- フラットな文化を前提
などの考え方なのだが、これがどうも日本の現在のITの商慣行に合わない。
すなわち現在の風土は
・お客様→プライム→下請けの階層化
・要件定義→要件確認→開発→テストの各フェーズで金額フィックスし完成
していく。
アジャイル開発の評価ポイントがズレている開発の不都合な真実
浸透しない理由においてもう1つ大きな点があります。それは開発段階における顧客の評価ポイントは、ドキュメントの品質になっていることです。これはアジャイル開発に限ったことではなく、ドキュメント第一主義が現場に浸透していることが、トランスフォーメーションにアジャイル開発を適用する弊害になってしまっている。
アジャイル開発の中身を紐解くと、そもそも80年代までの日本のやり方を野中先生が体系化して論文化したのが発端になっている。私のような80年代以前からビジネスに身を置いている人間には懐かしい匂いさえする。逆にいうとこうした風土から一番離れてしまっているために、日本は失われた30年から抜けられないのだろう。
もっというと欧米を手本に皆で額に汗してひたむきに働く風土の良い部分がバブルにより吹っ飛んでそのまま間違った欧米ビジネススタイルの取込により失われた30年が始まったのだと改めて感じる。アジャイル開発はハードルが高いが日本こそ、その根本精神を取り入れて改革に乗り出すことが有効である。